徳島大学理工学部理工学科 機械科学コース

「教員間授業ネットワーク」に関するアンケートによる現状調査

「教員間授業ネットワーク」に関するアンケートによる現状調査

(平成16年度FD研究報告書より)

 教員間の授業ネットの構築は工学部の中期目標にも挙げられている項目である.授業を良くするためには関連の授業間での意思疎通を良くし,授業内容の連続性や授業方法, さらに達成度の度合いな どについて日常的に話し合いの場を設ける必要がある. 今年度の作業として,まず現状の調査をアンケートによって行い,次年度に向けてネットワークの構築の方策の指針を提言することにした. 以下にアンケートの質問項目とそれに対する回答,およびそれぞれの回答率を列挙する. なお,有効回答数は23であった.

問1. あなたの担当科目に関連する科日(基礎となる科目あるいは上級科目,または,類似した内容を含む科目など)を担当している他の教員との連携に関する質問です.
担当科目の内容について,会合,面談,メール等の手段を通じて,他の教員とどの程度相談をしますか?

9%A. 毎週数回以上,相談をする
14%B. 週に一度程度,相談をする
5%C. 月に一度程度,相談をする
23%D. 年に数回程度,相談をする
27%E. 年に一度程度,相談をする
23%F. 相談をしない
0%G. どちらとも言えない

A~Eにチェックをされた方への追加の質問です.
どのような内容について相談をしますか?(複数チェック可)

31%講義・演習・実験で教える範囲8%講義・演習・実験のレベル
13%学生の理解度4%学生の態度
8%テスト問題12%レポートや演習問題
10%評価方法2%シラバス
2%より良い講義方法8%教科書・参考書
22%その他(最新の研究)

間2. あなたの担当科目について,会合,面談,メール等の手段を通じて,関連する科目を担当していない他の教員と相談をすることがありますか?

0%A. 毎週数回以上,相談をする
0%B. 週に一度程度,相談をする
9%C. 月に一度程度,相談をする
5%D. 年に数回程度,相談をする
14%E. 年に一度程度,相談をする
73%F. 相談をしない
0%G. どちらとも言えない

A~Eにチェックをされた方への追加の質問です.
どのような内容について相談をしますか?(複数チェック可)

7%講義・演習・実験で教える範囲21%講義・演習・実験のレベル
30%学生の理解度21%学生の態度
7%テスト問題0%レポートや演習問題
7%評価方法0%シラバス
7%より良い講義方法0%教科書・参考書
0%その他

問3. 「教員問授業ネットワークの構築」に関してのご意見をお聞きします.
同意する項目にチェックして下さい(複数チェック可)
講義・演習の内容について

16%A. 他の教員と定期的に会合,相談をすることは重要である
16%B. 他の教員とは,年に数回程度,相談をすれば十分である
10%C. 他の教員とは,年に一度程度,相談をすれば十分である
0%D. 他の教員から,干渉されたくない
39%E. 教育検討委員会などで,全体を見渡して検討することが重要である
10%F. 教育検討委員会などで,全体を見渡して検討するだけで十分である
0%G. 他の教員と相談をしたいが,時間がない(時間があればしたい)
10%H. 他の教員と相談をしたいが,機会がない(機会があればしたい)

その他「教員問授業ネットワークの構築」に関するご意見(下に書いてください)

  • 必要な時に窓日があればよいと思う.
  • 大学の運営に経営責任の取れる者が経営方針に従って行うものである.
  • 講義科目(座学)と実験・実習間の関連は重要な事項であり,教育検討委員会などでの検討になると思う.その他の事項,たとえば講義科目と基礎科目・上級科目間の関連については,当該教員の自由意志に基づいて個別に行えば よいと思う.
  • 専門必修科目の充実と4年間の学部教育の位置づけと大学院教育との関連性について基本的な目標を明らかにして,必修科目を見直す.
  • 基本的な目標::4年間でどこまで教育するか,大学院では継続した教育をどのように構築するか.必修科目の進展を図るか,現代の機械技術の発展を講義するか.
  • 必修科目:8科目の連携をどうするか,共通項目はないか(内容あるいは数学的取扱いその他)をさぐる.そこから派生する選択科目をどこまで学部で許容するか,アドバンスな部分は大学院でするか.
  • 関連する授業間で, どのような授業を行っているかを,シラバスの内容よりも詳しく互いに報告できる機会があればよいと思う.

問4. 本年度,他の教員と授業について相談をされたことがあれば,その主な事例をご紹介下さい.

  • 機械基礎製図の授業計画について(参加人数4人)
  • 試験問題について(2人)
  • メカトロニクス実習の方針について(4~5人)
  • 学生の理解度について(2人)
  • 授業の進め方,学生の理解度,シラバスの範囲について(2~3人)
  • 実験・実習・製図と必修科目の関連性について(2人)
  • 実習内容,成績評価について(2人)
  • 授業の範囲について(2人)
  • 授業の内容に関する最近の研究状況について(2人)

以上のアンケートの結果から次のようなことが明らかになる.

  1. 基礎機械製図やメカトロニクス実習など,数名の教員が担当している科日では,その範囲内で授業計画や学生の理解度について相談がなされている.
  2. 異なる授業間で授業に関して話し合われる機会はほとんどない.
  3. ネットワークの構築について教育検討委員会で検討すべきであるとの意見が4割である.

 すなわち,教員間の授業ネットワークがうまくできているという現状ではない.いわゆる2006年問題そして2007年問題が目の前に迫っていることを考えると,改めてカリキュラム全体を見直す必要があるのではないだろうか.補習教育を含めて一般教養教育から学部専門教育へ,また学部専門教育から大学院教育への接続等を系統的に考えることが重要課題になる.そして,カリキュラムの見直しのみならず,各段階での学習達成度評価を行い,それに基づいて上級科日に接続させることを考えないと,学生は未消化のまま大学を無駄に過ごすことになりかねない.その意味で授業ネットワークの構築は重要である.
 創成科目の授業報告会で創成科目間の授業内容を検討したり,また問題点などの洗い出しに努めていること,またこの報告会に今年度は学生の参加を求めたことは評価に値するものと考えられる.この報告会をさらに発展させ,これら創成科目群の教育がその目的としている学生の種々の能力開発に結びついているかどうかを検証すべきである.また,創成科目群と他の科目群との関係についても検討し,創成科目で得られるであろう学間への動機が有機的に専門座学への学習意欲につながるようにしなければならない.