徳島大学理工学部理工学科 機械科学コース

「シラバスの利用」に関するアンケート

機械工学科「シラバスの利用」に関するアンケートによる現状調査について

(平成16年度FD研究報告書より)

 学生の授業評価アンケートの結果を見ると, 「シラバスの利用」に関するポイントが低い傾向が続いている.この改善を目指し,教員サイドにおけるシラバス利用の現状についてアンケート調査した.対象科目は機械工学科( 昼間コース,夜間主コース) で開講している136科目であり, 回収科目数は93科目であった( 回収率68.4%).調査に用いたアンケート用紙の質問項目と回答項目,各項目の選択率ならびにコメントを以下に示す.

問1. 本年度行った授業は,シラバスに書かれている【授業目的】【授業概要】に合致したものでしたか?

28%A. 完全に合致している
69%B. だいたい合致している
3%C. あまり合致していない
0%D. ほとんど合致していない
0%E. どちらとも言えない

C~Eにチェックをされた方への追加の質問です。
その原因は何故でしょうか? (複数チェック可)

20%前の担当者が書いたシラバスであり,今年度の授業にあつていないから
20%前年度以前に書いたシラバスであり,今年度の授業にあつていないから
20%進度が予想と異なり,内容の量を変えたから
20%理解度が予想と異なり,内容のレベルを変えたから
20%その他(シラバスに対する認識不足から,反省点)

 97%の高い比率でシラバスに書かれている【授業目的】【授業概要】に合致した授業を行っていることがうかがえる.合致していなかった理由を見ると,これといった特別な理由は無いようである.

問2. 本年度行った授業に合格した学生は,シラバスに言かれている【到達目標】の60%を達成していると言えるでしょうか?

26%A. そう言える
56%B. ほとんどの学生に対しては,そう言える
13%C. 半数程度の学生に対しては,そう言える
3%D. ほとんどの学生に対して,そうとは言えない
1%E. そうとは言えない
1%F. どちらとも言えない

C~Fにチェックをされた方への追加の質問です。
その原因は何故でしようか?(複数チェック可)

6%前の担当者が書いたシラバスであり,今年度の授業にあつていないから
6%前年度以前に書いたシラバスであり,今年度の授業にあつていないから
0%到達目標を達成するための授業ができなかつたから
32%到達目標が厳しすぎたから
56%その他(教員と学生の努力不足,ただ出席しているだけの学生が多い,学生の理解度が予想より低い機械エンジニアとしての常識を知らなすぎる)

 ほとんどの学生がシラバスに書かれている【到達目標】の60%を達成していると回答した.グループ(回答A, B)は82%であり,大部分の学生が到達目標を達成していることが分かる.ただし,4%の学生は到達目標を達成しておらず,到達目標に達成していないにもかかわらず授業に合格している訳である.このようになる原因は,成績の評価方法に由来すると考えられる.すなわち,授業への取り組み状況, レポートなどの評価比率を高めると,【到達日標】の60%を達成していなくても合格する事態になるわけである.今後,成績評価に関して議論する必要があると言えよう.また,その原因として,厳しすぎる到達目標や学生の学力不足を挙げる回答が多く,到達目標の設定にも配慮する必要があることが伺える.

問3. 本年度行った授業は,シラバスに書かれている【授業計画】どおりでしたか?

25%A. 完全に計画どおり
65%B. ほぼ計画どおり(多少の順番の入替や, 2回分の内容を1回ですませた程度)
9%C. あまり計画どおりではない
0%D. ほとんど計画どおりではない
1%E. どちらとも言えない

C~Eにチェックをされた方への追加の質問です。
その原因は何故でしょうか?(複数チェック可)

13%前の担当者が書いたシラバスであり,今年度の授業にあっていないから
7%前年度以前に書いたシラバスであり,今年度の授業にあっていないから
0%出張や会議で休講になった回の補論をする余裕がなかったから
27%進度が予想と異なり,内容の量を変えたから
39%理解度が予想と異なり,内容のレベルを変えたから
20%その他(シラバスに書かれていない→ 「各担当教教員による」6回分の計画および授業の目的をプリントにして初回に説明した, 目的,計画をプリントにして初回に説明した,シラバスに対する認識不足から,課題の数を増やし,工学への興味付けを行いたかったから)

90%の教科でほぼシラバスに書かれている【授業計画】どおりに授業が進んでおり,シラバスに記載されている授業計画がほぼ妥当なものになっていることが伺える.【授業計画】どおりに授業が進まなかった理由として, 60%の場合で見込み違いという理由であり,次年度には改善されるものと期待できる.

問4. 本年度行った授業では,シラバスに書かれている【成績評価】どおりに成績を評価しましたか?

84%A. 記載通りに評価した
15%B. 記載通りには評価していない
1%C. どちらとも言えない

BまたはCにチェックをされた方への追加の質問です。
その原因は何故でしょうか?(複数チェック可)

23%前の担当者が書いたシラバスであり,今年度の授業にあっていないから
12%前年度以前に書いたシラバスであり,今年度の授業にあっていないから
6%行った試験の回数が,予定していた回数と変わったから
0%試験の結果が予想の範囲外であったから
12%演習・レポートの実施予定を変えたから
0%出席をとる/とらないの予定を変えたから
47%その他(平常点を中止しました,シラバスに対する認識不足から,平常点と試験の評価の比率を変更した,平常点はつけないで,テスト結果のみで評価した)

 大半(84%)の科目でシラバスどおりの成績評価を行っている.しかし見方を変えると, 16%もの科目でシラバスどおりに成績を評価していないというわけである.この原因をみると,JABEE対応のため平常点を中止した点と共に, シラバスの内容が今年度の授業にあっていない点等のシラバスの不備が挙げられている.次年度以降には, ここで指摘されたシラバスの不備が改善されるものと期待される.

        

問5. 本年度行った授業で,毎回の授業に必要な予習の指示(文献の提示など),また,復習の内容についての指示を行いましたか?

2%A. 最初の授業で,予習および(あるいは)復習の内容について,指示をした
29%B. 毎回の授業で,予習および復習の内容について,指示をした
2%C. 毎回の授業で,予習の内容について,指示をした
8%D. 毎回の授業で,復習の内容について,指示をした
18%E. 毎回ではないが,ときどき予習あるいは復習の内容について,指示をした
41%F. 予習,復習の指示は特に行っていない

A~Eにチェックをされた方への追加の質問です。どのような方法で指示していますか?

6%最初の授業でプリントによって指示している
23%毎回の授業でプリントによって指示している
57%毎回の授業で口頭あるいは黒板で指示している
14%その他(コンピュータのプレゼンを主とした授業のため指示はメールで行っている,パワーポイント,毎回行う小テストで復習の指針を与えた, 最初の授業で口頭によって指示,実験の科目のため)

 約40%の教科で特に予習,復習の指示を特に行っておらず,これが学生の理解不足の一因あるいは助長させる原因になっている可能性がある.しかし,予習復習の指示をすれば解決するような問題ではなく,授業中における指示の有無の効果についは別に検証する必要があるといえる.指示の方法を見ると,過半数の教科で, 口頭,板書,プリントなどのありふれた方法で伝えているが,一部の教科では新たにメールによる情報伝達を行っており,このような電子機器を用いた新しい伝達手段に対する学生の評価についても興味深い.平成17年度には,本学でもポ-タルシステムが利用できるようになるので,今後は従来のface to face型の情報発信法からこのようなコンピュータと携帯端末を使ったanytine-evervwhere型の情報伝達法が主流になる可能性がある.

問6. 本年度行った授業(昼間コース)で,JABEE項目との対応を説明しましたか?

24%A. 最初の授業で説明した
10%B. 授業中に数回説明した
66%C. 説明しなかった

 2/3の科目で説明を行っておらず, これが学生にJABEEの教育目的,教育目標等を周知徹底させる障害となっていると推察される.今後は学科として学生への周知徹底に努める必要がある.

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